パラドックス(paradox)とは、正しそうな前提と、妥当に思える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉です。逆説、背理、逆理とも言われていますね。
「妥当に思える推論」は狭義には形式的妥当性をもった推論、つまり演繹のみに限られます。しかし一般的にはより広く帰納などを含んだ様々な推論が利用されます。また「受け入れがたい結論」は、「論理的な矛盾」と「直感的には受け入れがたいが、別に矛盾はしていないもの」に分けることができます。狭義には前者の場合のみをパラドックスと言い、広義には後者もパラドックスと言います。こうした区分は主に数学分野を中心に行われるもので、結論が直感的に受け入れやすいかどうかではなく、公理系の無矛盾性をより重視する所から来る区分です。論理学者のハスケル・カリーは、単に直感に反しているだけで矛盾は含んでいないパラドックスのことを、擬似パラドックスと呼び、矛盾を含むパラドックスと区別しました。
身近なところでパラドックスの例を挙げてみましょう。
【張り紙禁止のパラドックス】
「この壁に張り紙をしてはならない」という張り紙は許容されるか?
【例外のパラドックス】
「例外のない規則はない」という規則に例外はあるか(例外があると仮定しても、無いと仮定しても自己矛盾する)?
【宇宙の広さは無限である】
宇宙に果てはないと仮定して、無限に広がっていると言った概念が理解出来るか?
【宇宙には果てがある】
宇宙は一定の広さとして果てがあると仮定した場合、その果ての向こうには何があるのか?
【トムソンのランプ】
今から1秒後にランプをつけ、その 1⁄2 秒後にランプを消し、さらにその 1⁄22 秒後にランプをつけ……というように 1⁄2n 秒毎にランプのオンとオフを切替えると、全部で2秒経過したときランプはついているか?
【砂山のパラドックス(ソリテス・パラドックス)】
砂山から数粒の砂を取り除いても砂山だが、数粒取り除く操作を何度もくり返し、最終的に一粒だけ残ったものも「砂山」と呼べるか。
【ゼノンのパラドックス(アキレスとカメのパラドックス)】
アキレスがカメを追いかけてカメのいた地点にたどり着いても、その時点でカメはさらに先に進んでいるため永久にカメに追いつくことはできない。
【ブートストラップパラドックス(存在論的パラドックス)】
過去の自分にタイムマシンの設計図を送る。その設計図を元にタイムマシンを作る。作ったタイムマシンで過去の自分にタイムマシンの設計図を送る。この場合、一体誰がタイムマシンの設計図を考え出したのか?という疑問が残る。このように原因と結果が循環していることを因果のループという。
【親殺しのパラドックス】
タイムマシンで過去に行き、自分が生まれる前の自分の親を殺したとき、自分は産まれてこないことになる。またそうなると自分が居ないために親が殺されない。さらに、親は殺されないため自分は生まれてくる、と言った循環ができる。
過去へのタイムトラベルでは現代と過去で繋がる問題や危機が頻繁に題材とされ、過去の改変により現代の事象も影響を受けるタイムパラドックスにより、歴史が書き換わった場合に訪れる危機や現代の悲観的状況を打開するSFドラマが多く描かれています。また不可逆的な時間を遡る現象の特性から、経験してきた時代をもう一度体験したい、生前の時代を垣間見たい、人生をやり直せたらとの読者の願望を反映したノスタルジックな内容の作品も少なくないです。これらは歴史小説的側面を持つ作品もあります。過去へのタイムトラベルは、荒唐無稽になりがちな未来社会を扱った作品よりも、時代考証や史実を踏まえることでよりリアルな描写が可能です。そのためか、現代への影響が想像しやすく読者が感情移入しやすいという評価もありますね。
タイムパラドックス(Time Paradox / 時間の逆説)は、タイムトラベルに伴う矛盾や変化のことであり、物語のテーマとしてしばしば扱われています。具体的には、タイムトラベルした過去で現代(相対的未来)に存在する事象を改変した場合、その事象における過去と現代の存在や状況、因果関係の不一致という逆説が生じることに着目したものです。
SF作品の中においてタイムパラドックスは、歴史に関わる重大な出来事や危機、思考実験として頻繁に題材とされています。タイムパラドックスによる危機やその回避のサスペンス性、展開の意外性による面白さが時間を題材とするSFで多用される理由で、作品の醍醐味ともなっています。尚、タイムパラドックスの最も有名な例に、前述の親殺しのパラドックスが挙げられるでしょう。
タイムパラドックスの矛盾を説明するため、タイムトラベル者による歴史の改変で時間軸が分岐し元の世界と並行した別の世界が生まれるとするパラレルワールドの概念があります。パラレルワールドに関しましては先日のブログ記事でも話題として取り上げましたね。この概念を発展させ、タイムトラベル者の介在がなくとも歴史上の重要なポイントで世界が枝分かれしていると解釈する立場もあります。
このパラレルワールドの発想に類似したものに、量子力学の多世界解釈があります。これは物理的な相互作用が時間上にも及ぶとするもので、この理論に基づくと、過去の改変が行われても素粒子レベルで世界の再構成が行なわれるため、結果としてタイムパラドックスは生じません。但し、二つの別々の世界でのタイムトラベルの瞬間前後で物体や情報量が生成・消滅するため、エネルギー保存の法則・エントロピー増大の法則・相対性理論等、古典力学の法則は破綻します。また、多世界解釈もタイムトラベルの瞬間前後で相関のない情報量が割り込むため破綻してしまうという問題が解決される訳ではないのです。
本日は些か難しい話となってしまいました。最後にYoumeiが大好きなタイムトラベルのSF映画、『タイムマシン』(The Time Machine)を紹介します。
過去を変えても悲劇の恋人の運命は変わらなかった話です。きっとYoumeiもあらゆるパラレルワールドの世界で妻と一緒に暮らしていたに違いません。何しろ運命とは必然ですからね。
今日もいい日になる様に
いつでも笑って優しくね!
ぽぽぽ、ぽぽぽ、ぽ~ん!
今日もいい日になる様に
誰かに笑顔でありがとう!
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